機能性表示食品にはいろいろな種類のものがあり、バリエーションも豊富になってきました。排尿のトラブルに悩まされている人も注目してみると良い機能性表示食品が登場しています。排尿というキーワードが機能性表示に用いられている点で話題になった機能性表示食品についてこの記事では詳細に解説するので参考にしてください。
排尿のトラブルに関連する機能性表示食品として「排尿」というキーワードをそのまま使用して表示するものが登場して2020年に話題になりました。メーカーからの届出を受けて、消費者庁は表示内容が提出された情報と照らし合わせて問題がないいかどうかを確認しています。
消費者が誤解を生んだり、不快な感じを受けたりしないように表示の文言についても指摘をすることが多く、排尿という言葉がそのまま使われているのが驚かれたというのが実情です。ただ、排尿のトラブルに関連するサプリメントはよく知られていたため、機能性表示食品として登場する期待は以前から持たれていました。
このときに話題になった機能性表示食品で用いている機能性関与成分はクランベリーに由来するキナ酸でした。クランベリーはサプリメントの成分としてよく用いられていて、トイレが近くて悩んでいる人をターゲットにしているケースがほとんどです。
そのため、排尿のトラブルで困っていた人からはすぐに着目されました。その影響もあって大きな話題になったとも言えるでしょう。
機能性表示食品には消費者が誤解を生まないようにしつつ、科学的根拠との関連性が深くて誤りがないないように工夫した表示内容が用いられています。排尿のトラブルにもいろいろあるので、「排尿のトラブルの改善になる」といった表示をすることは困難です。
代表的なものでも昼間頻尿、夜間頻尿、排尿障害などがあり、さらに尿路感染症などが関連してくる場合もあります。排尿の度に痛みを伴ったり、残尿感がなくならずに困ったりする消すもあるため、全ての排尿のトラブルにまとめて対応できることはまずありません。
たとえどのような排尿のトラブルに対応できる成分があったとしても、科学的根拠を臨床試験を通して集めるのは現実的には難しいでしょう。そのため、キナ酸を使用している機能性表示食品でもかなり限局した内容の表示になっています。
「トイレが近いと感じている女性の日常生活における排尿に行くわずらわしさをやわらげる」というのが表示内容です。トイレが近いと感じているという表現から、頻尿になっていて普段からストレスを感じている人をターゲットにしていることがわかります。
機能性表示食品の届出をしたときに提出された参考文献を参照すると、キナ酸を使用して臨床試験が実施されていたことがわかります。
平均年齢で40代半ばの女性をターゲットとして1日1回994mgのクランベリーに由来するキナ酸を摂取したときに、8週間経過後の昼間の排尿回数と夜間の排尿回数を比較したのが臨床試験の内容でした。
この結果として平均すると昼間には2.9回、夜間には0.3回の減少が見られています。この臨床試験の結果に基づくとキナ酸には昼間の排尿回数を減少させることができる機能性があると考えられるのです。昼間に3回近く、トイレに行く回数が減るのはとても大きなメリットでしょう。
臨床試験の結果を実際に見てみると、この機能性表示食品は排尿のトラブルに全般的に効果があるわけではないことがわかります。昼間にトイレに行く回数が多くて悩んでいる人をターゲットにする根拠となるデータになっているのは確かでしょう。
しかし、夜間にトイレに行く頻度が高くて困っている人には良い効果があるかどうかはわかりません。このデータだけでは0.3回しか減らなかったのでキナ酸では効果がないと判断するのが科学的には適切です。ただ、平均して0.3回なので1回減った人もいるでしょう。
毎晩、2回トイレのために起きていたのが1回だけになったらだいぶ楽になります。もしかしたら効果があるかもしれないと期待して摂取するのも決して悪いことではありません。ただし、機能性としてメーカーが責任を持って示しているのは昼間の頻尿が気になっている女性の悩みの解決だけです。
夜間頻尿が改善しないからといってメーカーにクレームをつけてはならないので注意しましょう。キナ酸には尿路感染症に関連する科学的な情報もありますが、この機能性表示食品では尿路感染症についての表示もありません。
表示外で言われていることについてもメーカーは保証していないので注意が必要です。
この排尿のトラブルに関連する機能性表示食品の表示を見てみると女性だけが対象になっていることがわかります。男性でも昼間の頻尿で困っている人が大勢いますが、なぜ女性だけをターゲットにして表示しているのでしょうか。
これも科学的根拠があるかどうかという問題に由来しています。この機能性表示食品の届出をしたときに根拠にした臨床試験のデータでは40代半ばを平均年齢とする女性だけが被験者になっていました。そのため、臨床試験の結果としてわかるのは中年くらいになった女性の場合には、8週間の継続的な摂取によって排尿の回数が減る傾向があることだけです。参考情報-薬事法ドットコム > 機能性表示食品申請
つまり、男性についてのデータがないので、「トイレが近いと感じている人の日常生活における排尿に行くわずらわしさをやわらげる」とは表示できないのです。消費者庁ではきちんと科学的根拠を確認しているので、メーカー側も慎重に言葉を選んで表示内容を決めています。
男性についてはキナ酸によって排尿のトラブルが改善されるかどうかがこの時点ではわからなかったのでしょう。
今後、男性でも効果があるという臨床試験の結果が出てくると表示を変更する可能性もありますが、このときには女性のみに限定せざるを得なかったのです。
機能性表示食品として認められるためには科学的根拠が必要になります。排尿というキーワードを使っていて話題になった機能性表示食品では昼間の頻尿に対して機能性があるというのが科学的根拠でした。夜間頻尿や他の排尿のトラブルについては効果があるかがわかりません。
機能性表示食品は表示内容を詳しく確認するのが大切だということを覚えておきましょう。